字駄楽ト界

Life is a jest,

(エンターキーを強く叩く)

フィクション上のハッカーは、shiftが必要な文字をどうやってあんなスピードで打ち込んでるんだろう。以前からの疑問だ。
高速でcaps lockしてるんだろうか。ただ、個人的にはcapsをctrlにしている人の方がスゴ味がある・・・!と警戒する。
JP特有の問題かとも思ったが、USキーボードのmacを使ってもshiftが必要な記号はやっぱり多い。
わざわざUS配列にしたのはスーパーハカーを目指してるからではなくて、一回も使ったことのない「かな入力」の情報が印字されていることに我慢ならなくなったからだ。
というか、私は東野圭吾以外で「かな入力」を使っている人を見たことがない。システムとして捨てるのは無理としても、全部のキーボードに標準で載せるのはそろそろやめてもいい頃合いだと思うんだけど。

話は変わるが、例えば「剣の達人」を映像化したい場合、その人が華麗に剣を振り回して敵を斬れば良い。殺陣とは剣の可視化だ。
サッカーが上手いでも天才詐欺師でも偉大なる軍師でもとにかくそれは映像化できる。してきた歴史がある。
しかし、ことハッカーを映像化しようとすると、彼のプログラミングスキルはキーボードをどれだけ速く叩けるか、つまりカタカタカタ...ッターンでしか表現できない。
これは不幸なことだと思う。

そう、ハッカーのスキルというのは本当に映像化しにくいんだ。
別に、ブラックマンデーのファルコンを指してこんなんハッカーちゃうやろ(笑) って言いたいわけではない。
いや、ホントはちょっと言いたいけど、それはルフィーにこんなん海賊ちゃうやろ(笑) っていうのと変わらないしあんまり意味がない。
映像化が困難なことの何が問題かというと、「ハッカーのスキルの上達」というフィクションが描けない。

ちょっと思い出してほしい。今までフィクションで出てきた「ハッカー」属性持ちは、すでにスキルがカンストしてるようなやつしかいなかった。
だからライバルと競い合いながら上達していく、という筋書き(Ex. バカボンド,セッション)でハッカーが主人公になった例はあまりない。尚、マトリックスのネロはコメントし辛いのでいったん措く。

前置きが長くなったが、今回はそんな「ハッカーが成長する」マンガを紹介したい。
タイトルを王様たちのヴァイキング、といい、天才ハッカーの高校生がなんやかんやする話だ。

結局天才ハッカーじゃん、と思った人はちょっと待って欲しい。この是枝くん(主人公)は一味違う。
彼は確かに天才ハッカーだが、高校中退、コンビニバイトをクビ(おでんの大根がキレイだなって見つめてたため)、重度のコミュ障、いじめられっ子、とPC以外はすべてダメダメだ。そんな彼が、もう1人の主人公である、エンジェル投資家の坂井大輔(向かって右の人)と組んで「世界征服」を目指す。ワクワクする導入ではないか。

ところでこのマンガはプログラミング経験はあるよ!って人にもおすすめできる。
なんたって是枝君のマシンは改造ThinkPad x41、OSはカリカリにチューニングしたUbuntu12.04だ。ファルコンのカッコいい独自GUI搭載のシステムとは訳が違う。
しかも、そのPCの装飾もこれがサイッコーにKOOLなんだ。ステッカーぺたぺた系Lv100、みたいな。詳細は実際に読んで欲しい。今後10年、ドラマのハッカーキャラの使うラップトップはコレと(MacBookはありふれ過ぎてるので)VAIOの無刻印キーボードのやつでいいんじゃないか。

あと作中で主人公が作ったhtmlが映るんだけど、これが見た瞬間「あ、これ頭いい人が作るやつだ!」と分かるタイプのHPで、そういう芸の細かさがとても楽しい。
なんというか、有能な人が技術ログとTipsを淡々と公開しているシンプルなwebページみたいな。

しかも、遠隔地の2人がひたすらパソコンを..ッターンし合って、片方に勝利を明確に意味するウィンドウが出たあともう片方がクソってラップトップを乱暴に閉じるようなハッキングバトル(今名付けた)もこの作品には無い。
それなのに、ちゃんと悪いやつとハッキングを武器に戦っている。スゴイ。

その他にも色々な時事ネタにも対応しており、読むとちょっとITの知識も付く。しかも説明が丁寧なマンガなので、USBの知識がなくても楽しく読むこともできる。

当ブログはそんな王様たちのバイキングを応援しています。

よし、この締めを一回書いてみたかった。