字駄楽ト界

Life is a jest,

2018年マンガレビュートップ10 後編

もしあと1-2話先まで公開されてたらメイドインアビスを1位にしていただろうに(50話公開時点)

いや、まさかねぇ、あれが覇権アニメになるとは誰が予想できようか。視聴負荷て。
ところで外人が某シーンに "Papa's Rod version 2? "てコメントしてては腹抱えて笑いました。あれアニメっつーか公共の電波で流せんのかなぁ。いやほんと、世の中いろいろなことが起こりますね、はい。

順位といえばデデデデがよりにもよってあのタイミングで休載し担で選外にしたんですけど、あれもいくとこまで行ったらランクイン確実ですよ。7巻ヤベーし。

というわけで後半戦です。しかしこれ書いてる最中にMacの左シフトキーがイカれ、本来なら53k掛かるところがなんか向こうが非を認めてる期間中なので0円になりました。あっぶねえ。
PC壊れちゃったんでー、て言ってる人を見ると、またまたー、って思ってたんですけど、実際にあるもんですね。

それでは本編どうぞ。

5位 亜獣譚

亜獣譚(1) (裏少年サンデーコミックス)

亜獣譚(1) (裏少年サンデーコミックス)

実は私ケモノ界隈にアンテナを張っているので、メインドインアビスはナナチ登場時、ビースターズはハルさんのあられもないシーンのあたりから読んでいます。
ちなみにビースターズの連載初期の下馬評は、オイオイオイオイ板垣父子はチャンピオンをどうする気だ、でした。

その(どの?)私が断言します。次来るマンガは、これです。

というのもこのマンガ、金太郎飴のごとくどこ切り取ってもイかれており、まずはじめに筋肉モリモリマッチョマンの変態(主人公)が怪物殺戮シーンを演じてると思ったら、いきなり瀕死になり、巨乳に求婚し、なんと結婚の約束を取り付けるんですね。しかもこの狂人がもうどこからどう見てもSAN値0。

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ええ、これが主人公です。というか、作中で一番ヤベーやつ扱いされています。

そして、胎児が怪物化して生まれる奇病があると知らされ、ああ亜獣ってそういうこと、で、このヤベーおっさんは調査兵団的な、怪獣ぶっ殺す軍団の一員なのかと分かります。
り、ますが、そこから間髪入れずそもそもこのマンガの舞台は日本ですらなく、なんかよく分からん大陸でよく分からんケモノどもに戦争で負けた世界だとしれっと告げられ、あまりの情報量に泡食ってるうちに、衆道的な意味でかわいがりを行う教官と新入生の一悶着があったりします。
ここまでで、3巻。

私は、なにが起こるか分からないマンガを愛してます。

つまり、ワンピースで絶対に殴っちゃいけない天上人という存在が登場した時点で、あ、ルフィーはこいつを殴るなというのが分かる。それは悪いことではない。ワンピースの人気を見れば分かるように、王道とはそういうことだと思う。

けれど、そういう予想とか期待みたいなのを、気前よく場外ホームランする作品がたまにあります。

このマンガは、すでにそういう域にいる。だから、私はこのマンガが大好きです。

4位 選択のトキ

選択のトキ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

選択のトキ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

これねぇ、3巻で終わるマンガじゃなかったと思うんですよ。できれば10巻行くか行かないかくらいまでは行ってほしかった。中だるみするくらい日常パート挟んでさ。ほんとに、素晴らしいSFラブコメだったのに。

ブコメ

私、実はかぐや様までラブコメってジャンルまともに読んでなかったんすよ。あれも「インスタントバレットの作者がラブコメとな⁉︎ 」って手を取ったらハマった感じだし。アホなコメディにibの闇が垣間見えてホント楽しいけど、作者がib完結させたいと言っているから早く終わっても欲しいような、複雑な感情。

ところで能力モノのマンガ描いてた人が日常モノ描くと、どうも一部の登場人物がめっちゃ強く見えません?
特に白銀妹とか、時間系の禁呪使えそうじゃないですか。

…話を戻すと、ラブコメってジャンルはあまりにも人気のジャンルであるために、そこで語られる出来事はもう全て出尽くしたというか、新しいもんは産まれんだろ、的な諦念がある。そもそも萌え自体が記号を延々と消費し続けるものだし、

そんな中あまたの作品が生まれ、死に、その屍は大陸を覆い尽くして肥沃な土壌となった。その結果新ジャンル、という言葉すら定義され、未知すらも定性的に語り得る。

そんな世界に、文字通り突如現れた超新星がこちら。
なんとこの作品のヒロイン?は、その主人公とラブコメ的衝突をした時点で、性別がない。

彼(女)は性別を任意に決定できる種族で、地球にはその材料を取りに来たという。ちょうど半陰陽(ふたなり)の対立概念みたいなもんだ。

だから主人公(男)は、彼(女)を男にして友情を育むか、女にして愛情を抱くかという二択を迫られる。そして、そのどちらも選択していない「今」は、両方が同居するとても居心地のいい時間だ。曰く、男が求めるのは「セックスができるドラえもん」らしい。ラブコメ的な、選択とその保留の一つの完成形。

あと、もっと端的に言うと絵柄がドチャクソ好み。

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とにかく、本ブログは群千先生の新作を期待しております。

3位 ソフトメタルヴァンパイア

Q, リゾット・ネエロって鉄操れるんならわざわざ剃刀生やさなくてもっと簡単に暗殺できるんじゃない?

A,

そんな人が読むと楽しいマンガ。

シドニアの騎士が世に出たとき、SF好きには激震が走った。
まさか、あなたが。弐瓶勉が、ラブコメを、描くだと?弐瓶、勉が?って。

このマンガはそれと同じくらい衝撃だった。だってさ、この人の前作、EDEN っていうので私大好きなんですけど、この作品の世界観って「誰が死ぬか」ではなく「いつ死ぬか」ってくらい人がバンバン死ぬんすよ。しかも作風もゴリゴリのハードSF。傭兵とハッカーディアスポラ

その人が、女子高生が主人公の異能力バトルラブコメ描くんですよ。そりゃもうびっくり。

しかもこの世界の能力者はなにを操れるかっていうと、ズバリ元素です。

つまり、押入れからバケ学の参考書引っ張り出して、最初のページ開いてもらうと周期表ってのが載ってると思うんですけど、この縦の列を族っつって、同じような特徴を持った原子が並んでるんですね。

能力者は、特定の族にあたる元素を操れます(例外あり)。だからこのマンガで爆発を操る能力者というのは、つまり窒素族使いでアジ化物を生成して投げてくるわけです。

ここまで読んで頂いた方はそろそろ皆んな同じ疑問を持つと思うんですけど、じゃあ例えば水素使いと酸素使いがいて、合成したH2Oはどちらのものなのか、と。

答えはモル質量比が高い方が支配します。えーと、モル質量比というのはそもそも原子は陽子と電子と中性子で構成されてて、(1H)…あ、もういい?

あとこういう↓

敵もいるので、高二くらいまで化学とってた人にもだいぶ楽しめるかと。

本作はそんな、ラブコメとハードSF(化学)と学園モノとフォークロアを一緒くたに煮込んだ闇鍋ですが、少なくとも珍味であることは私が保証します。

2位 図書館の大魔術師

完璧。

以上。

……いや、さすがにね。さすがにそれで終わったら世話ないんで、も少し書きますけど。 でも正直、これの1巻読んでるとき私の精神はアヘ顔ダブルピースしてたので、実際のところ、らめえぇおかひくなひゃううぅぅ、くらいしか書くことないんですよ。

え、こんなにも私の願望そのものみたいなマンガがこの世に存在してていいの、みたいな。夢だけどー、夢じゃなかったー!、みたいな

というのも私、司書なろうかなって思ってたことがあるんですね。
そういう人間にとって、ほんっとうに完璧で素晴らしいファンタジーでした、はい。

あと、強いて言うなら、これどれだけ一般的か知らないんですけど、私が図書館学習ったときは囗(くにがまえ)に中にト って書いて 図書館って読んでました。 図書館学ってね、めっちゃ書くからね、図書館、って。この本の表記より結構早いんじゃないかな。これ知っとくとノート取るスピードが3割くらい上がるよ。

うん、そんな感じです。

最後に、私が辛くなった時によく見る動画を貼っておきます。

youtu.be

1位 パンプキン・シザーズ

というわけで、栄えある1位はこの作品です。

冒頭にも述べたとおり、2018年連載中から取ってるんでこれ以外は連載開始が2010- なんですよ。対して、このマンガの連載開始は2002年。ポケットモンスター ルビー・サファイアが発売された頃ですね。気が遠くなるわ

そんな、連載20年という大台が見えてきているにもかかわらず、これまず間違いなく今が一番面白いです。全くしり上がりにも程がある。

でもこれ、最初、よくあるマンガかなぁって思ってたんすよ。最近だと「かつて神だった獣たちへ」とか、あの辺の。改造人間による特殊部隊が、戦争後も暗躍したり、お互いに争ったりっていう。仮面ライダーからこの方、悪の結社に改造されたダークヒーローには事欠かないじゃないっすか。

確かにそういう一面もあるんだけど、何もその王道を往く美しさに惚れ込んで1位にしたわけじゃないんです。なので、このマンガに関しては登場人物やそれを取り巻く素晴らしいストーリーは一旦措いて、その背景について話そうと思う。

 

作者が1巻で考証不要って言ってるにも関わらず、これだけ考証し甲斐があるマンガはそうない。

というのもこのマンガ、一見するとよくあるなんちゃって軍隊モノのように見えるのだが、実は「レオナルド・ダ・ヴィンチ級の天才が科学革命後の戦時中に生まれ、その才能を工学へ昇華させた近世」を舞台にした、歴史改変モノなのだ。

レオナルド・ダ・ヴィンチという人間は、科学的方法という概念すらない中、ヘリコプターや戦車を発案し、太陽エネルギーや計算機の理論化、二重船殻構造の研究、初歩のプレートテクトニクス理論までも理解していたという。
けれど、彼の生きたルネサンスの時代は錬金術師が化学の基礎を築いている真っ最中であり、そのあまりに卓越した知見を広めることは出来なかった。だから、彼は技術史ではなく芸術史に名を残した。

もし、彼が近代に生まれていたら。それも、権力者側に近接して、研究開発機関をぶっ立てていたら。一体、世界はどんな命運をたどるのか。

その天才の名前をカウプランといい、作中のとある秀才は、自分たちの生きる世界を「カウプラン文明」と呼んだ。
しかもこの超天才が、帆場暎一のように物語へ絡んでくるからもうたまらん。

脳みそというのは、常にその時代の最新の技術に例えられていたという。チャールズ・バベッジの時代には差分機関に、トーマス・エジソンの時代には真空管に、ロバート・ノイスの時代には集積回路に、フォン・ノイマンの時代にはコンピュータとソフトウェアに。
斯様に、技術の進歩というのは思想や文化にも多大な影響を与える。

にもかかわらず、カウプランという存在は本来乗り越えるべき幾つものパラダイムシフトの遥か向こうから、「完成された技術」をどんどん放り投げてくる。
そのあまりに性急な技術の進歩は、淘汰されるべき価値観を存続させ、生まれるべき理念を堕胎させた。

その結果が、電信網は軍部の一組織に全権掌握され、為政者はその有能さに気づかず、また封建制度の領主としての貴族がその騎士道精神に則て馬の代わりに戦車を駆る、という歪な世界だ。

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同じ技術でも、その時代、その指向によってこうまで違う。私たちの生きる世界から「カウプラン文明」を覗く、その、面白さ。

しかも外伝もウソでしょ? ってくらいよく出来ているので、併せて是非。

Pumpkin Scissors:Power Snips(1) (KCデラックス)

Pumpkin Scissors:Power Snips(1) (KCデラックス)

はい、そんな感じです。私は単行本派なのでそんな数読んでるわけじゃないんですが、2018年も豊作でした。
ことマンガに関しては、「今日はとっても楽しかったね。明日はもっと楽しくなるよね、ハム太郎!」を信じております。

最近だと、あいほん公式アプリがオススメしてきた「荒ぶる季節の乙女どもよ。」を読んでコレ一体どう言う目線にたって読んだらいいんだと悩んだり、ファイアパンチの鬼才が週刊ジャンプに連載を初めたと聞いて、なんか女体化の読み切り描いてたし、週刊の連載だし、あの過激さは期待できんだろうなぁ、と読んでみたらあまりにキレッキレで度肝抜かれたりしております。

2019年も面白いマンガが読めるといいな。