字駄楽ト界

Life is a jest,

-logy

たまに、特定の単語から猛烈なSF感を惹起されることがある。伊藤計劃さん曰く、透明マントは光学迷彩と呼称されたとき、これはヒミツ道具ではなく光学的手法を取り入れた迷彩模様である、と再定義され、本格SFにすら耐えうるアイテムになったのだ、と。適切な2つの単語をただつながるだけで、これほどの「フシギさ」を提供できる。

「金融老年学」

この単語のパワー、なかなかすごくないか。
日本にある金をグラフで表示すると、その1/3 は高齢者が保有している。対して20代が所持する預金は1%、有価証券の所持率は0%で、認知症患者の持つ総資産額は215兆円にのぼるそうだ。
そこでこのデータを眺めていた頭のいい人たちは気がづいた。だったらもう金融商品自体を研究するより、老人をエンジニアリングした方が効率が良いじゃん、と。全く何たる発想の転換か。
バリバリの証券マンが、預金を自社に預けて運用してもらうため、おじーちゃんおばーちゃんの話を孫よりも丁寧に聞く。その方法が、既に学問化されている。おじーちゃんおばーちゃんに老後はこれで安泰ですよと信じてもらうメソッドについて、論文が書かれ、学会が発足し、批判されたり補強したりしている。お金持ちにやさしい社会。

現実というのはかくもあっさりSFを越えてくるから全くステキだ。